
厳しい寒さを越し、柔らかく芽吹いた山の幸、瀬戸内の鯛は桜の季節にほんのりピンク色に染まるのが旬の目印。桃の節句頃には「一対の貝殻は二つとして合わさるものはない」という、仲睦まじさの象徴である貝がおいしくなります。お料理全体も優しい色合いではんなりと。

京都の夏といえばハモ。祇園祭の頃が最も旬を迎えるといわれます。骨切りしてほろっと柔らかい身の部分、そして濃厚な骨出汁・・・全てをあますことなく味わうことができます。賀茂茄子、万願寺唐辛子などの京野菜にはクールダウンの効果が。旬のもので効率よく栄養補給を。

空高くさわやかな風を感じて。色づく紅葉、実りの秋。松茸や丹波しめじ等のキノコ類や、お芋、ゴボウなどの根菜類も香りと味で魅せてくれます。お魚ではモミジが色づく頃再び鯛が旬を迎えるほか、サンマやサバ、サワラなどの青魚が脂ものって食欲をそそります。

済んだ空気で夜空の星も一段と美しく。「王様」フグの登場です。海老芋などの京野菜も料理の主役としてほっこりとした気持ちにさせてくれます。そして一年の集大成、おせち。新しい年を迎えていただくべく、培った技術と最高の食材で全てを注ぎ込みます。
素材にこだわり、手間を惜しまず調理した料理。 奥深い味わいを、五感でお楽しみいただけることに 喜びを感じています。 日本料理を心ゆくまでご堪能ください。
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奥村 竜太郎
おくむら りょうたろう 1974年9月27日生まれ
京都山科出身
大学時代アルバイトで入った寿司店で日本料理に目覚め、以降京都・大阪の料理店にて10年修行。2002年広島県福山市に「おく村」オープン。
味暦 師走の一品
2019 . 11 . 18セコガニ
今年も11月6日に松葉ガニの解禁日を迎え、セコガニの時季がやってきました。セコガニ(松葉ガニのメス)は、解禁日から約2ヵ月しか食べることのできない希少な食材。おく村では、兵庫県北部にある津居山や香住で水揚げされたものにこだわっています。身をほぐし濃厚な味わいの味噌と内子を絡め、土佐酢のジュレでいただきます。冬の希少な味覚を是非お愉しみください。【ご希望の場合はお問い合わせください】